犬が大好きな人にとって憧れの職業でもあるトリマー(犬の美容師)
毎日かわいい犬とふれあえる仕事として目指している人も多いのではないでしょうか。
しかしどんな職業でも悪いところ、嫌なところ、我慢しなければいけないところなどがあります。
特に3K(きつい・汚い・危険)と言われているトリマーの仕事には、残念ながら悪いところがたくさんあります。
ペットサロン勤務を経て独立開業した元トリマーとして、悪いところ(改善すべきところ)を本音で挙げていきたいと思います。
特にペットサロンやペットショップなどに就職した場合を中心にお話します。
元トリマーの本音~トリマーのここが悪い!
■ 労働条件が悪い
■ 土日祝日、大型連休は繁忙期
■ 汚い・臭い
■ 生傷が絶えない
■ 感染症やアレルギーのリスクがある
■ 腰・肩・手首などを痛める
■ 犬にケガをさせるリスクがある
■ 接客業のためクレーム対応がある
■ 職場の人間関係が良くない所もある
■ スタッフの入れ替わりが激しい
■ ノルマがある場合がある
はっきり言って給料は安いです。
もちろん勤務する職場により多少は異なりますが、トリマーの平均月収は16万円~23万円程度、年収にして250万円~300万円(ボーナスを含む)といったところでしょうか。
ボーナスのない職場もあることを考えれば、技術職であるトリマーの仕事に見合った給料はなかなかもらえないかもしれません。
しかし本気でトリマーを目指すのであれば、給料アップも不可能ではありません。
休みが少ない、昼休憩がとりにくい、残業時間が多い、有給休暇がとりにくい、福利厚生が整っていない所があるなど問題点はたくさんあります。
もちろん勤務する職場(個人経営か大型ショップ、または動物病院かなど)により違ってきますが、上記のような労働条件の悪い所がよく見うけられます。
特に社会保険は大切です。
働き先を決める際には、労働条件や福利厚生をしっかり確認し、福利厚生などの制度がしっかり整っている職場を選びましょう。
はっきり言って土日祝日は休めません。
またGW、お盆、年末年始などの大型連休は繁忙期(かき入れ時)です。
大型連休の時期にはトリミングにくる犬が普段の数倍にもなります。
ペットホテルが併設されている職場はもちろんのこと、ペットサロンでは大型連休にお休みすることはなかなか難しいかもしれません。
当然のことながら、生き物を扱う仕事なので「汚い・臭い」は当たり前です。
トリミングに来る犬の中には糞尿で汚れていたり、毛がものすごくもつれていたりと、ひどい状態で連れてこられることもあります。
また、トリミングにきた時は元気だったとしても、トリミングのストレスで急に下痢や嘔吐をする犬もいます。
その処理をするのもトリマーの仕事です。
素手で触れてしまうことも多々ありますので、衛生面にも気を使っている職場かどうか、チェックする必要があります。
毛玉だらけの犬の場合、もつれ毛がひどいと最終的には丸刈りにすることもあるのですが、飼い主さんの許可がいります。
毛玉ができないように普段からお手入れして欲しいのですが、毎回毛玉だらけの犬はいくらきれいにしても、次回もまた毛玉だらけです。
技術を磨いて顧客を選べるトリマーになるのも一つの方法です。
サロンに来る犬の中には、もちろん、噛む子がいます。(猫ならばひっかかれます。)
飼い主さんの前では大人しい子も、飼い主さんが見えなくなると恐怖心から牙をむく子もいますし、「この子、噛むんです」と正直に話して下さる飼い主さんもおられます。
犬にとっては嫌な事をされるのですから、仕方のないことかもしれませんが・・・
噛まれるリスクが常にあることを念頭においてください。
トリミング用のハサミはよく切れるので、暴れる犬を扱う場合、自分の手を傷つけることもあります。
むしろ自分の手は切っても、犬を傷つけてはいけません。
さらに、犬のシャンプー剤や消毒液などで、手荒れ・ひび割れは一年中おこります。
ファーストエイドキッドやハンドクリームは必需品です。
犬の糞尿に触れたり、犬に嚙まれたり・・・
トリミングに来る犬の中には、ごく稀ですが、残念ながら狂犬病の予防注射すら受けていない(受けさせてもらえない)子もいます。
独立開業すれば断ることもできるのですが、勤務先ではそういう訳にはいきません。
「室内飼いだから予防注射はしていません」とおっしゃる飼い主さんがいらっしゃるのも事実です。
トリマーは常に感染症のリスクがあることを覚えておいてください。
また、犬の毛を吸うことにより、今まではなかったアレルギーが出てしまう事もたまにあります。
さらにノミやダニに噛まれることもあります。
例えば、ゴールデンレトリバーや秋田犬などの大型犬を抱え上げることはできますか?
犬が自分から浴槽に入ってくれれば良いのですが、なかなかそうもいきません。
重い犬を抱え、しかも立ち仕事です。
腰痛、肩こりを訴えるトリマーは多いです。
さらにハサミを持つ仕事なので、腱鞘炎にもよくなります。
ちなみに私は腰痛、肩こり、手首の腱鞘炎と、すべて持ち合わせてしまいました。
若い時は良いのですが、年齢を重ねるとトリマーとして仕事を続けるのは厳しくなってくるかもしれません。
「犬も人間のようにじ~っと立っていてくれていたら、どんなに楽で安心してトリミングできるか」とよく私は思っていました。
不意に動く子、嫌がって暴れる子、怖がって噛んでくる子・・・
たとえ犬が突然動いたとしても、犬をケガさせてしまう事は絶対にしてはいけません。
私は幸運にも犬に大きなケガをさせたことはありませんでしたが、専門学校の学生時代に足の肉球をバリカンで少し切ってしまったことがあります。
幸い、血はすぐ止まり、飼い主さんにもお許しを頂きましたが、何よりケガをさせてしまったという自分自身の落ち込みが激しかったのを今でも覚えています。
トリマーは接客業です。
トリミングをするのは犬ですが、その飼い主である人間がお客様なのです。
ほとんどのお客様はとても良い方なのですが、中には理不尽なクレームを言いつけられることもあります。
どんなクレームにも真摯に向き合い、冷静に対応できる力を身につけておきましょう。
これはどんな仕事でもどんな職場でも言えることですが、人間関係がダークな所もあるようです。
特にトリマーは女性が多く、個人経営のショップではスタッフの人数も限られています。
最終的には人間関係が良好な職場が働きやすいのではないでしょうか。
トリマーは給料も安く、体力のいる仕事です。
職場環境や労働条件等、精神的にも厳しい場合もあります。
特に専門学校を出たばかりの若いトリマーは見習いのような立場なので、なかなか続かずにやめてしまう人が多くいます。
本気でトリマーとして生計をたてるのであれば、「こんなはずじゃなかった」とならないように、下調べは十分に行いましょう。
職場によっては「今月は一人○○円」とノルマが割り当てられるところもあります。
ペットショップが併設されているところではペット用品もノルマの対象になる場合もあります。
そういった職場では、ノルマを達成するために精神的な負担がかかってしまいます。
ノルマは就職するまでわからないこともあるのですが、できるだけ事前に調べておきましょう。
トリマーの仕事での悪い点を挙げていきましたが、どう思われましたか?
「もうトリマーなんてや~めた!」でしょうか?
それとも、「それでも私はトリマーになりたい!」と思われた方は、ぜひチャレンジしてみてください。
将来、独立開業するのであれば、お客様と犬を選ぶこともでき、自分の思い描いたショップにすることも可能です。
強い意志があれば道も開けるはずです。
もちろんトリマーになって良かったと思うこともたくさんあります。
ぜひ➤元独立トリマーの本音~トリマー職のここが良い!も読んでみてください。
